武蔵野レコード鈴木です。今年もよろしくお願いします!
昨年はおそらく、今まで生きてきた中で最もレコードにお金を使ったと思います(詳細は中古編参照)。。。しかし、そのおかげでとても楽しいレコード生活を送ることができました。
SpotifyやApple Musicで聴いたものも多数ありますが、武蔵野レコードのブログということで、あくまでもアナログレコードに限った話で、昨年良かったレコードベスト5を「新譜」「再発」「中古」それぞれで挙げていきたいと思います。
それではどうぞー。
新譜編
Solange “When I get home”
2018年末から2019年頭にかけて、中村佳穂の “AINOU” にめちゃくちゃハマっていたのですが(アナログ化切望!)、彼女のtwitterでこのアルバムのことを知りました。
(Beyonceの妹だということも知りませんでした)
一聴して「うわ、すげえ!」という感じではないのですが、シンプルで抑制の効いたトラックと歌がクセになり、聴きたくなる時が多々ありました。結果2019年の新譜ではダントツにたくさん聴きました。シュールなPVも素晴らしかった。
個人的に昨年は仕事面で大変なことがいろいろあったのですが、そんな時にもよく聴きました。どんな精神状態で聴いても、”無”になれるというか、すっと耳に入ってくるというか。そういう心地良さがターンテーブルに何度も乗った理由かもしれません。
Kindness “Something Like A War”
友人のtwitterで知りました。というだけあって全く予備知識なしで聴いたのですが、こちらはSolangeとはある意味真逆で、初めて聴いた時に最初の3曲で完全にノックアウトされました。”Raise Up”のピアノが入ってくるところがもうほんとにたまらない。カタルシス。
SpotifyやApple musicでイヤホンで聴くと、僕が使っているイヤホンの特性もあって上物がビシバシ来る感じですが、家のオーディオで聴くとミドルハイがやや抑えられつつ低音が柔らかく出て、音量を上げるとクラブにいるような気分になりテンション上がります。
(おそらく)山手線の五反田ー大崎間の車窓のPVも良いです。何でもない景色だけど、妙に映像と音楽が合ってます。
そして、彼は最初に挙げたSolangeとか、同じく昨年ハマったBlood Orangeの作品(まだレコード買えてない)にプロデューサーとして関わっていたりして、音楽的にも繋がっている感がありますね。
11月の来日公演がキャンセルになったのがとても残念ですが、4月に来てくれるみたいなので、期待大です。
Leonardo Marques “Early Bird”
アルバム自体は2018年のリリースだったのですが、アナログのリリースが2019年6月でした。「ブラジルのJohn Lennon」「ブラジルのElliot Smith」と呼ばれているらしいのですが、まさに2曲目の “I’ve Been Waiting” がジョン・レノン感溢れ過ぎてて泣けます。本人所有のスタジオで、ビンテージ機材を使ってレコーディングしたこともあってか、音はひたすら暖かくてナチュラル。
3月に来日することが先日発表されましたが、場所が山形。。悩ましい。
あとどうでもいいですが、僕がInstagramでこのアルバムのことを#LeonardoMarques #EarlyBird とハッシュタグをつけてアップしたら、本人から「いいね!」をもらいました。
Bibio “Ribbons”
仕事をしながらこのネットラジオを聴くことが多いのですが、このアルバムの4曲目の”Curls” が流れたときに一瞬にして心を鷲掴みにされ、キーボードを叩く手が思わず止まったのを覚えています。大好きなJose Gonzalezにも通じる、ややローファイ気味なアコースティックな音と、ちょっと高めの声。サウダージ感があります。これがWarpから出てるのもおもしろい。
アナログは限定の紫色のものもあったのですが、カラーヴァイナルは素材が普通のレコードと違うから音が悪い、と複数のレコ屋の店員さんから聞いていたため、通常の黒いヴァイナルにしました。
Arthur Russell “Iowa Dream”
僕が最も好きなアーティストの1人、Arthur Russell。一番有名なのはディスコ期の音楽だと思うけど、70年代に残したフォーキーな音楽もかなり素晴らしく、その時期の未発表音源集が発売されました。このアルバムでいうと、”Everybody Everybody”や”Come To Life”のような、何音楽かよく分からない感じというか、いろんなジャンルが混在しているのが彼の音楽の最大の魅力だと思います。
(番外編)Joao Gilberto “in Tokyo”
追悼。2006年の来日公演のライブ録音です。もう最高。ずっと聴いていられそうな気がします。例えがアレですが、丁寧に出汁をとった味噌汁のよう。
再発編
Numbergirl オリジナルアルバム3枚
まさかの再結成!からのアナログ再発!狂喜乱舞しました。僕の青春のバンドです。
Issam Hajali “Mouasalat Ila Jacad El Ard”
中東のファンクに影響を受けた音源を発掘する”Habibi Funk”というレーベルから、レバノンのIssam Hajaliというアーティストの1978年のアルバムが再発。
disk unionの解説には「レバノンのClube da Esquina」「レバノンのArthur Verocai」と書かれているのですが、確かにブラジルっぽさがあり、ジャンル横断的な感じがしますが、そんなことだけでは片付けられない音楽性。フォーク+サイケ+レアグルーヴ+中東っぽさ、みたいな感じでしょうか。言葉にすると安くなってしまう。とにかく聴いて欲しいです。
この曲とかちょっと奇跡的だと思うんですよね。
https://diskunion.net/DU-X1_audio_player.html?id=1008000046&disc=1&track=5
ちなみにこれも、Instagramでハッシュタグつけてアップしたら、レーベルのオフィシャルからコメントもらいました。
ブレッド&バター “バーベキュー”
中古レコ屋でまず見かけることはないブレッド&バターの大名盤がレコードストアデイに再発!ピンクシャドウほんと最高です。音は全く問題なく素晴らしいです。オリジナル盤もっと良いんだろうなー。でも高いんだよな。。
Marcos Valle “Vento Sul”
1972年の作品。トロピカリアからの影響なのか、Marcos Valleのイメージにはないサイケ要素強めのサウンド。でもメロディーにマルコスらしいポップさがちゃんと残っていて、唯一無二な音楽になってます。これは隠れた名盤なのでは。
ブラジルのpolysomというレーベルの再発盤なのですが、ここの再発盤は全体的ににちょっと低音が過剰なんですよね。。なのでこれはオリジナル盤が欲しくなります。。
Beatles “Abbey Road(50th Anniversary Edition)”
ビートルズマニアとしては、2019年といえばこれは外せません。しかし、一昨年のsgt. pepper’s、昨年のホワイトアルバムに続き、アナログレコードの音はかなりドンシャリで、特に低音が強く、ちょっと気になっちゃうんですよね。。デジタルでイヤホンで聴くとすごく良いので、きっとそこをターゲットにして作られたのだろうなと思います。
中古編
The Beatles “Please Please Me” UKオリジナル(mono) ゴールドパーロフォン盤
ついに買ってしまいました。Beatlesの最難関盤の1つ、Please Please Meの「ゴールドパーロフォン」と呼ばれるファーストプレス盤。曲の版権の表記によってプレス時期が云々という細かい話があったりするのですが、僕が買ったのは完全オリジナルのファーストプレス盤です。ebayで買いました。
音はそれはもう最高。”I Saw Her Standing There”のハンドクラップは乾いた音でキレが良く、”Misery”のギターとコーラスのフレッシュな響き。ベースはゴリゴリでギターはジャキジャキ。などなど、「音の鮮度がいい」ってこういう音のことを言うのだろうなと思います。デビューに向けて4人が楽しくエネルギッシュにレコーディングしている絵が浮かびます。
このアルバムってとにかく録音が良いですよね。Beatlesのアルバムの中でも実は屈指の音の良さだと僕は思ってます。なので他の盤を揃えて聴き比べしたくなってしまう。UK盤だけでも他に3枚持っています。
ちなみにこれのステレオ盤は極端に枚数が少なく、グレードの高い軽自動車が買える値段がついているので、、、totoBIGが当たったりしないと買えないと思います。。
はっぴいえんど “風街ろまん” オリジナル盤
説明不要の日本の音楽史に残る名作中の名作。帯がついていると値段がかなり跳ね上がってしまうのですが、帯なしでそこそこのいい感じの値段で買えました。ディスクユニオン北浦和店にて。
音は、アタック感が凄まじいです。「CDは何だったのかというくらいの音圧。ベースとドラムが雷雨のように降ってくる!」とInstagramにハッシュタグつけて書いた結果、何と松本隆さんからフォローいただきました!
Led Zeppelin “Led Zeppelin” UKオリジナル ターコイズカバー
またまた買ってしまいました、、、Led Zeppelinで最難関と言われているこの盤。ファーストアルバムの、最初にプレスされた1,000枚とか2,000枚と言われている、ロゴがターコイズカラーで、マトリクス(盤の内周に書いているマスター番号みたいなやつ)が修正なしの「588171 A//1」のものです。こちらもebayで購入。おそらくディスクユニオン等の半分くらいの値段で買えていると思います。こういう超高額盤はebayが一番安く買える気がしています。
音は、もう、、、鮮烈!そりゃComunicationもBreakdownするわ、っていうくらい切れ味鋭く鮮烈な音。UKのセカンドプレスも持っているのですが、それと比べると低音の出方が特に違いますね。ただインパクトは”Led Zeppelin Ⅱ”のRLカットの方があるかもしれません。あれは別次元。
Runt. “The Ballad of Todd Rundgren” USプロモ盤
こちらはヤフオクで購入。今回挙げているレコードの中で、CDとの音のギャップが一番あるのがこれかもしれません。何年か前の武蔵野レコードの定例会で、本宿さんがこのアルバムのUSオリジナルを持ってきて、CDとは全く違うパワーのある音に驚き、オリジナル盤の力を思い知りました。これはそれのプロモ盤。もう最高すぎます。”Chain Letter”のイントロのギターが生々しくてゾワゾワします。
Joao Gilberto 初期3部作 ブラジルオリジナル盤
またまた追悼。Joaoが亡くなった直後に、値段上がっちゃうなと思って、勢いで初期のOdeonの三部作をオリジナルで買いました。discogsでブラジル人のセラーからまとめて購入。
ファーストアルバムは、レーベルの縁が線で丸く囲まれているものがファーストプレスで、それだと値段がかなり上がってしまうのですが、これはセカンドプレス(とは言っても発売と同じ年にプレスされています)。
音は期待していたほど良いわけではないのですが(音だけで言うとブラジルはPhillipsがやはり最高ですね)、内容はいわずもがなで、もう何回でも聴きたいです。
以上です。
2020年もめっちゃレコード聴くぞー。ユニオンのニューイヤーセールが楽しみでソワソワしています。