湯浅学さんの「アナログ・ミステリー・ツアー」の影響で、ここ半年くらいでビートルズのレコードをいろいろと集めています。ビートルズくらい世界中で売れたバンドだと、いろいろな国でレコードがプレスされていたので、1つのレコードでも数多くのバージョンが存在します。
そしてプレスされた国が違うと音も違い、それぞれ味があってとてもおもしろいです。ということを知ってしまうと、同じレコードを複数買ってしまうことも珍しくなくなってしまいます。
で、ある時ふと気づきました。僕の手元にはStrawberry Fields Foreverの7インチ盤が4枚あると笑。
その4枚というのは、UKオリジナル盤、日本盤、インド盤、そして2017リミックス盤です。この中の何枚かは武蔵野レコードの集まりでかけたことはあるのですが、そう言えばちゃんと聴き比べをしてじっくり違いを検証してないなと。
ということでしっかり聴き比べてみました。上記4枚にCDの青盤を加えて計5枚の比較です。
■UKオリジナル盤
大正義UKオリジナル盤。いやー素晴らしい。もう言うことないですね。音圧、音のバランス、どれをとっても最高です。音が増えるたびに「いいなあ」と思わず言ってしまう。そしてジョンがstrawberry fieldに抱くノスタルジー感も、サイケデリックな空気感もよく表現されています。それにしても改めてちゃんと聴くと、アレンジが本当に秀逸だなと。ストリングスの入れ方、逆再生のエフェクト、ソードマンドル(途中で入るハープみたいな音)の使い方、アウトロに入る前のエレキギターのフレーズ。センスの固まりですね。
■日本盤(赤盤)
音が遠い、遠すぎる…。自分の耳とスピーカーの間に突如距離が生まれた感じです。日本とイギリスの間にユーラシア大陸、いや、太平洋とアメリカ大陸と大西洋があることをまざまざと感じさせます。レコードのコンディションがあまり良くないというのもあるとは思いますが。そして全ての声と楽器が平べったい印象です。
■CD 青盤
イントロからもう音が小さい…。ドラムと弦楽器の音は割とクリアなのですが、管楽器は管の響きが全くしない表面的な音だし、他の音もおしなべて弱く、ジョンの歌が自信なさげに聴こえます。
“Let me take you down ‘cause I’m going to strawberry fields”
(ストロベリフィールズに一緒に行かないか)
って言っておきながら、ジョン自身が道に迷っている感じというか。。。
■インド盤
おおおおおおお。イントロのメロトロンが既に違う何かを予感させます。そして、他の楽器が入って驚きました。ドラムがとにかくクリアだし、全ての楽器がはっきり聴こえます。全体的にパワーもある。これはすごい。いやー、これはUK盤より良い、って言っちゃっていいかもしれない。盤質の問題もあるとは思うし、全体的にUK盤よりドンシャリ気味な処理になっているので、好みの問題はありそうですが、ほとんどの人が「UK盤よりインド盤の方が音がクリアで強くて良い」って言うんじゃないかなあ。アウトロもめちゃくちゃかっこいい。
(ただし、この若干のドンシャリ処理のためか、メンバーの愛甲さん宅の環境では高音がかなり目立ってしまって全然違う印象でした…オーディオ奥が深いぜ)
■2017年リミックス盤
ドラムとベースが他の盤にはない力強さで、これも結構いいねえ…と思ったのも束の間、音が増えれば増えるほど、中音域がぽっかり空いているように聞こえるのが気になってきます。ディフェンスラインから前線にロングボールを出しまくる伝統的なイングランドサッカーみたいな感じといったら怒られてしまうかもですが、、、中盤でなかなかボールを受けられないスコールズが思い浮かびました。
■まとめ
…ということでまさかのインド盤が最強か!?と思ったのですが、何度かUK盤とインド盤を代わるがわる聴き比べていたら、インド盤のドンシャリ気味な音、特にハイが強いのがだんだん気になってくるようになってきました。一方、UK盤は何度聴いても印象は変わらず、どっしりと構えている感じ。風格すら感じさせます。これがUK盤の実力なのか。ストロベリフィールズがあるのは、インドじゃなくてUKのリバプールだもんね。そりゃそうだよね。
(という感じではありますが、きっと気分や体調によって好みが変わっていくのでしょう)
※この記事を書くのにいろいろ調べていたら、こんな記事を見つけました。すっご。