2019年のベストレコード(本宿)

皆さん今年もよろしくお願いいたします。

私は札幌在住なので、地元の個人店とDiscogs、ヤフオク、amazon、それにたまに行く東京でのまとめ買いが入手経路です。ユニオンやHMVなど、安く在庫が豊富な環境が近くにないのは痛いですが、札幌の個人店はなかなか取り揃えが面白くて、充実のレコードライフを送っております。

昨年もたくさんいいレコードと出会えました。ここで皆さんに少しでも参考になる情報をシェアできればと思います。

2019発売の新譜

『Up on high』Vetiver

米西海岸のフォークロックバンド。正直どのアルバムも全部一緒ですが、それはどのアルバムも一定の品質を保っており、毎回ファンの期待に応えているのだとも言えると思います。

 

『Long Wave』Bonny Doon

上モノ中心のシャレオツレイドバックなカフェ音楽と思わせつつ、耳が慣れると引っ張るリズムが粘っこく肝が座っていることに気づいてきます。雰囲気はUSオルタナフォークなのに曲調はUKニューウェーブだったり、耳には優しいけれども、ひと癖ひと工夫あって飽きさせません。挨拶は出来ないけど話は濃くて面白いやつみたいなバンド。

『Rachael and Vilray』

これはもうガーシュウィンやコール・ポーターを引き合いに出さざるを得ないやつです。米国音楽の良心そのもののような作品が2019年にぽんっとリリースされるアメリカの多様性と懐の深さに恐れ入ります。そりゃいつのまにか人口3億人にもなるわけですよ。高齢化社会に向けて何の対策も打てずジリ貧な日本だから、いつまでも細野晴臣をありがたがってるんではないかと考えさせられます。

『FEEL GOOD』SIRUP

声、唄、ラップ、ルックス全てよし。下手すると3代目J SOUL BROTHERS に行ってしまいそうなところをそうさせない音とメロディの選択眼。m-floや椎名兄妹、宇多田ヒカルが闘い切り拓いた土地で伸びやかに育ったX世代。全編わかりやすさに包まれていながらも品と格のある佇まいは、平井堅のデビュー時と重なります。レコードの音も抜群です。

『Cherish』KIRINJI

意外なことに、SIRUPのあとに続けて聴くのに適しています。コトリンゴは抜けて正解。手練のリズムセクションが低いボトムでさまざまなリズムパターンを繰り出し、兄弟時代よりぐっとフィジカルで色気あり。そして川端『山の音』のように中年を迎えてさらに色濃い変態性。小沢健二の新作に戸惑っているところに予想外の嬉しい力作です。厳密にはレコードは2020/3/20発売。

旧譜

『Nos Dias De Hoje』Ivan Lins

ブラジル盤オリジナル。Discogsで購入。
一曲目から生きる歓びに溢れていて引き込まれます。エグベルト・ジスモンチと同様、ブラジル人だけどサンバ要素が少ない無国籍な音楽。とにかく他に無いメロディが次々と飛び出します。『関ジャム』で椎名林檎が「才能に嫉妬するというか、質問攻めにしたい相手」とコメントしていて流石だと思いました。

『WindyCity』WindyCity

USオリジナル。タケチャス・レコードで購入。
札幌はソウル好きが多いらしく、レコード店でもソウルもののレコードを取り扱うところが多いのですけど、そんなレコード屋の一つ「タケチャス・レコード」店内でかかっていて即買い。いわゆるシカゴ・ソウルの名作で、これに続いて20thCenturyRecordsレーベルを買い漁っていますが、これ以上のものには出会えていません。

『In Our Lifetime』Marvin Gaye

日本盤オリジナル。札幌ファイブ・ワン半額セールで1,200円→600円のこれが素晴らしすぎてまいりました。どんなにひどい内容なのかと変な好奇心で買ったけど、疑った俺を許してくれマーヴィンよ。
日本盤だけど音は良いです。というか、日本盤の破綻しない丁寧な感じが良い場合もあるんだと最近は思います。
『離婚伝説』とこれの時期が低迷期という世間の評価はものすごく間違っています。おかげで出会うのにだいぶ遠回りをしてしまいました。普通の音楽家なら、これくらいのものが一生に一枚作れたら充分という傑作ですよこれ。この人はただ作品毎に世界観が違うので誤解を呼びやすいだけ、なのだと思います。

『Neon』The Cyrkle

USオリジナルプロモ、モノ。
友人からプレゼントでいただきました。音の衝撃度で言えば2019年ダントツでNo.1。モノの迫力に満ちていて興奮します。ステレオのUSオリジナルも持っていたのですが、モノを聴いてすぐ売りました笑 ソフトロック系はモノと相性いいですね。

『Live In New Orleans』Maze Featuring Frankie Beverly

UKオリジナル。Discogsで購入。
ユニオンでもフラッシュディスクランチでもやたら安く売られているMAZE。80年前後という時代性とミディアム〜スローの曲が多いせいか今ひとつ評価が低いように思いますが、部屋聴きでもフロアでも実に気持ちよく安心して聴ける人たちです。聴き込んでも聴き流してもよし。ハズレが無い人たちですが、やはり本領発揮はライブですね。

『Goodbye Girl』David Gates

USオリジナル。フラッシュディスクランチで購入。
元ブレッド、その前はレオン・ラッセルとバンドをやっていたらしい不思議な経歴の人。初期AOR〜いわゆるミドル・オブ・ザ・ロード。刺激も尖った魅力も皆無、というかダサさギリギリですが、一曲一曲が実に丁寧に作られていて、安易なメロディが無いのがすごいです。

「September」Earth, Wind & Fire

7inch、USオリジナルプロモ、モノ/ステレオ。Discogsで購入。
エネルギーが凝縮されたようなモノバージョンがとにかく素晴らしいので、ぜひ皆さんに聴いていただきたい。ただでさえクソ名曲なのに感動が上塗りされます。

2019リマスターシリーズ Prefab Sprout

大ファンなので当然amazonで全部買い直しました。『Music』『Andromeda Hights』の初アナログ化が嬉しいですねー。『Gunman〜』だけリリースが無いのが残念ですが。
リマスター具合も素晴らしいと思います。1st、2nd、3rd(『プロテスト・ソングス』)まではオリジナルに譲りますが、『ラングレー・パーク』と『ヨルダン』は今回のリマスターの方が音いいと思います。ちなみに評価が高い2ndは、USオリジナルとUKオリジナルで全然音が違うので聴き比べ甲斐がありますよ。

「Absolute Beginners」The Jam

7inch、UKオリジナル。ディスクユニオン吉祥寺で購入。
ジャムはアルバムよりもシングルで聴くべしとよく言われますが、初めて意味が分かりました。ジャムのシングルはめちゃくちゃ音が良いのが多い! アタックが強くてガッツがあって最高。「Start!」「Funeral Pyre」も抜群。ジャケットもアルバムより全然かっこいい。しかもジャムはシングルB面もアルバム未収録のいい曲ばかりで、金がなくてアルバムが買えないキッズの味方だったんだなあと今更感じる次第です。

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